これはうちのオリジナル燻製器で、修理から帰ってきた子たち。自慢ではないですが(自慢ですが)、うちの燻製器は自分であれこれ考えて「こういう燻製器がほしい」と思ったものをイメージに描いてステンレス加工の会社に製作していただいたものです。
お肉などの素材を、強制的に乾燥させるために業務用送風機で燻製器の中に風を送るための大きな穴、燻製器を洗浄しやすくするため(すさまじく木のヤニが付きます)、また1台で熱燻や冷燻に対応できるようにするために、セパレート式にして本体を分解できるようにするなど、随所に「些細ながらそれまでの経験での知恵」が活かされていると自負している燻製器たちです。
良いか悪いかは別にして、多分こんな燻製器を使っている人はいないのではないかと思います。だから当初は「これは特許出願しよう」と思っていたほどです。ただこんなもの特許出願しても「他に誰が使いたがるの」「誰が業務用燻製器なんか使うの」と考えて、出願費用だけ無駄になると思い直し出願は止めましたが(笑)。
オリジナル燻製器案を現実化するために、Google検索でステンレス加工をやってくれる会社を探しました。いくつか出てきた中から「この会社に打診してみよう」と問い合わせをすると、いつまで経っても返事がない。きっと「こんな採算性の悪い案件に関わってられるか」とでも思われたのか、それともホームページは立ち上げたものの問い合わせ対応などが実質できていないのか。いずれにしてもバイバイ!です。
次に問い合わせたのが比較的東京の自宅から近かった会社。ここなら自転車で打ち合わせに行けるなと思って期待していたのですが、返ってきた答えは「とても面白い試みですね。ぜひ一緒にやらせてもらいたいです。まずは設計図を起こしますので10万円ほど先にお振り込みいただけますか」。そりゃモノを作るだけに設計図は必要でしょうが、いちおうパワポベースで設計図もどきは送ってあり(概要設計とでもいいましょうか)、それを詳細設計するのに10万円!しかも製作費用は設計費用とは別に僕が想定していた予算の3倍ぐらいかかりそうとのこと。とても予算内に収まらないので「ご対応ありがとうございました。ちょっとそこまで予算がありませんので」ということで丁重にお断りを。
そして次の会社に問い合わせると「こうした個別の対応はしておりません」。そもそもホームページに「何でも作りますのでお問い合わせください」といったことが書いてあったのに!思わず「そんな会社は消えてしまえ!」と心で叫んだほど。
やっぱり今の予算感では実現は無理なのか、諦めて市販品を改良して使うしかないのかと思いつつ、もう1社に問い合わせメールを送ったところ、すぐに返信が。しかも設計費用だの何だのは言わず、逆に僕のパワポ図面をもとにすれば製作に必要な図面は無料でやっていただけるとのこと。そして製作費も確認すると、なんとか頑張れば予算内で収まりそう!
これは嬉しかったです。本当に。で、そこの会社に製作いただくことにしました。結果的に2台の燻製器を製作いただいたのですが、京都にある会社ということで実際に相手様とはお会いしていません。いつもメールでのやり取りだけです。にもかかわらず、いつもとても丁寧なご対応をしていただき、本当に心強かったです。
その燻製器も使い出してから3年ぐらいになり、さすがに経年劣化してきたのかドアの蝶番の溶接した部分が外れてきてしまいました。そこで京都の会社さんに連絡をしたところ「まだ3年経っていませんので、送料だけご負担いただければ無償で修理をさせていただきます」
涙がちょちょ切れるとはこのこと。ちょうどクリスマスも近づいていたのでお礼としてスモークチーズを少し贈らせていただきましたが、それにしても嬉しい。職人気質というか、日本っぽいというか、いや、そうじゃないな。お仕事に誠実なんだと思います。この姿勢は僕も学ばさせていただく必要があるもの。
なかなか京都に行く機会はないのですが、その機会があれば是非ご挨拶に寄りたいなと思っています。
ということで、オリジナルのステンレス製品をお考えの場合は絶対におススメです!
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